採算や投資収益が将来のFX相場からの影響を受ける
事業法人の貿易や機関投資家の海外投資では、その採算や投資収益が将来のFX相場からの影響を受けます。
生じる為替リスクをコントロールするために、為替先渡取引が広く活用されています。
そこで、銀行とその顧客との間で行う通称“為替予約”を題材に、為替先渡の市場制度並びに商品の仕組みを、取引の約定から決済までのプロセスに沿って説明が必要です。
・約定には与信が必要
為替先渡取引は、取引所を経由しない“相対取引”でかつ約定の後日(対顧客市場では翌日以降)に通貨交換します。このため、“決済リスク”(決済日に取引相手へ一方の通貨を支払ったにもかかわらず取引相手からもう一方の通貨を受け取れない可能性)があります。
しかもFX(外為証拠金取引)や株価指数先物とは違って、為替先渡には相手の未決済に備えて証拠金を預かるといった制度はないです。
そこで“与信管理”が不可欠となります。取引相手の信用リスク(デフォルトあるいは経営困難)に関する審査を中心とした与信管理は、もちろん銀行・顧客双方にとって大切です。
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今の例でY銀行は、顧客L社との取引に応じる前にあらかじめ棄議のうえで為替に間する同社への与信枠(取引の限度額など)を設けておきます。
L社の先渡取引における目的(背景にある実需案件や同社の為替ヘッジ方針)、同社の業況並びに財政状態、Y銀行にとって同社との取引採算見込みなどを勘案し、行内の手続きに従ってその秦議を行います。
秦議に無事パスすれば、L社との取引に応じられる限度額、締結から決済までの期間の限度(最大何カ月物の先渡取引まで締結可能か)、徴収する手数料・マージンなどが併せて正式決定されます。
このうち手数料・マージンについては、事前にY銀行とL社との間で合意しておく必要があることは言うまでもないです。